分かっていたのに罠にはまった

 私は基本的にインドアである。家にいるのが楽しい。というより家から出るのが気が重い。何の予定もない休日などは引きこもっているのが一番幸せである。セミリタイアする前は、何の予定もない日というのがあまりなくて、朝から「今日も出掛ける日か・・・」と思いながら憂鬱だったりした。もちろん予定といっても、友達と遊ぶものなど、行ってみたら楽しいものも多いのだが、その前段階として家を出なければいけないというのがもう無条件に嫌いだったりする。

 という私がセミリタイアしたらどうなるか。もちろん、予定がある日以外には終日家の中にいてゆっくり(だらだら)していることになる。心置きなく、何に邪魔されることもなく。

 しかし、実際にはセミリタイアする前から、そこに罠があることは分かっていた。

 2日以上連続して家に引きこもっていると、気力が低下するのである。

 気力が低下すると、余計に家から出たくなくなって引きこもり続け、といって家でも特に何をやる気もせずだらだらし続け、そのうち自己肯定感が低下し、更に気力が低下するという悪循環に陥る。

 セミリタイアする前は、日々仕事に関する様々な予定があり、嫌でも家を出なければいけない日が多かった。これは自分としては不本意なのだが、一方で図らずも自身のメンタルヘルスを維持する効果があった。

 いざセミリタイアしてみてここ数日、希望どおり好きなだけ引きこもって本など読みふけっていたら、案の定、知らず知らずのうちに気力が低下していた。先日書いた罪悪感に関する記事なども、正に気力が低下した状態で書いたものである。

 気力が低下すると将来に希望が持てず、自分を肯定的にとらえることができず、感情が鈍化する。更に言えば、引きこもり続けると肉体的にも運動不足に陥る。心身ともに非常に不健康な状態になる。

 運動不足解消のためにようやく重い腰を上げて、昨日、仕事の予定に絡めてなるべく長距離を歩いてみたその夜、明らかに気分が明るくなっていることに気付き、ああ今回もまた気力が低下していたのか、と自分自身で認識するに至った。

 やはりいくらセミリタイアするといっても、一日一回は家を出る予定を作った方がよさそうである。あいにく無目的に散歩することが苦手なので、買い物とか習い事とかちょっとした予定をなるべく一日ひとつずつ割り振っていくなどが必要となってくるだろう。

 こういうこともひとつずつ経験しながら、セミリタイア後の生活を組み立てていこう。