セミリタイア後、収入についての本音

 昨日の記事を書きながら、自分自身が鬱々として嫌な気分になっているのを自覚していた。どちらにしても、ここしばらく気力が低い。昨日の記事を読み返しても、意識して前向きな方向に書こうとしているのが分かる。

 今月頭にセミリタイアのようなものをして自由時間を獲得した代わりに失ったものと言えば、当然収入である。そんなことはセミリタイアする前にも具体的な金額まで予想できたことであるし実際にそのとおりになっているのだが、上に書いた気力低下を自己分析してみると、どうも原因は収入が減ったことにあるらしいとの結論に至って、自分自身驚いている。

 セミリタイアする前はとにかく仕事によるストレスが大きくて、食欲不振や不眠など身体面にも悪影響が出てきていて、そこから逃げることしか考えていなかったので、収入減少額を計算してみて何とかやっていけるんじゃないかと思い、すぐに実行した。ところがいざ自由を手に入れてみると、手に入れたものは自分にとって当たり前のものとなってしまうので、自由であることは当然である一方で、今まで手にしていた収入が途絶えてしまった喪失感だけを強く覚えるようになっていたのかもしれない。

 あるいは、ある程度の高収入であったことが自分の自己肯定感にも影響していたのかもしれないとも思う。確かに、毎年年収が増えてきた中で、ある金額を越えた辺りで自信のようなものが湧いてきたことは自覚していた。

 ただ、その金額を越えたからこそ「収入が減ってもいい」と思えたことも事実で、昔であれば「もっともっと」と思って仕事を増やす一方だったのが、仕事量を調整できるようになったのもそれ以降である。だから、収入減少が自分にとってはそれほど心理的に影響のあることだと思っていなかった。

 結局のところ、収入を減らしてでもその他の要素を充実させるという価値観に則って行動したにも関わらず、自分の中に依然として経済力至上主義的な価値観が残っていたために精神的に満たされない状態に陥っているのだろう。もちろん、その価値観に戻るつもりはないので、セミリタイアしているうちに少しずつ価値観を変えていければ良いと思っている。

 という訳で冒頭の話に戻るが、頭の中ではつい金銭的なことをぐるぐると考えてしまい、ブログを書こうとしてもそういった内容ばかりになってしまってちっとも面白くも楽しくもなかった状態であったので、何か新しい情報を外部から取り入れようと思って手を取ったのが『LIFE SHIFT』である。発売直後に買って途中まで読み、そのまま放置していたものだが、今の自分に必要なものはこれだろうと思って再び手に取った。まだ読み終わっていないが、読み終わらなくても、上に書いたようなことが書かれていることは分かる。お金のことだけを考えてそれだけに時間を費やす人生は幸せではないと書かれている。今回のセミリタイアを収入を犠牲にしてストレスから逃げたと位置付けるのではなくて、自分にとってのライフシフトのタイミングと捉え、新しい価値観で新しいことに挑戦し新しい人間関係を構築してより自然体で幸せな自分に近付くための転機だったと考えれば良いのだろう。

 まだセミリタイア期間は始まったばかりだ。頭で考えたことが本当に自分自身の価値観や行動となるまでにはまだ時間がかかるだろうけど、そういうものだと思って、毎日をなるべく楽しく過ごすことだけを考えてしばらくは暮らしていきたい。