私の株式投資遍歴(3) 銘柄選定方法

 何度か別記事に書いているが、このブログは基本的に他人へ何かを教えることを目的としていない。書かれる内容はあくまで私個人の経験や思考、感想だったりする。
  前回記事の最後に「銘柄は適当に選んだ」と書いたので、今回の記事にはその時々で何を考えて買っていたかを書いてみることにしたのだが、これもあくまで株式投資に関する一個人の経験談であって、株式投資の指南・必勝法などでは全くない(読めばすぐに分かる)。
 反面教師になら一部なるかもしれない。

最初に買った銘柄

 最初は、日常生活でよく利用していた某店舗を経営する会社の株式を買った。購入動機を簡単に言えば「親近感」だろう。
 なお、前々回の記事に書いたように、この銘柄は最終的に購入金額の4分の1で売却した。

その後買った銘柄

 まだ四季報を読み込んだり新聞の株価欄を継続的にチェックする前か、し始めたくらいの頃だったはずだ。
 相変わらず生活していく上で関わりのある銘柄を買っていたが、徐々にそうでない銘柄も買うようになった。自分なりに証券サイトの四季報欄などを読んでいたと思う。紙の四季報は何回か買ったけど、あんまり役立てていなかった。

成長銘柄

 そうこうするうちに、たまたま保有していた東証2部銘柄がその後1部上場(正確な状況はうろ覚えだけどそんな感じのこと)をして大きく値上がりしたことがあった。
 そうか、成長余力のある方がいいのかもしれない、と思って、しばらくはそういう成熟株でない銘柄を買っていたが、よく考えなくてもギャンブル性の高い選定方法だった。そんなにうまく化ける銘柄を見つける選定眼もないし、やはり1部上場銘柄に比べれば出来高も低く流動性に欠けたので、すぐに買わなくなった。

スクリーニング

 証券サイトに銘柄のスクリーニング機能があるので、しばらくはそれを利用して買っていたと思う。その時々で読みかじった情報をもとにソートをかけていたはずだけど、具体的な内容は覚えていない。
 基本的には東証1部で最低購入額が20万円程度のもの(この金額は徐々に上がる)、あとはPERだったり配当利率だったり成長性や収益性、あるいは安定性などの指標だったりそれらの組み合わせだったりで選んでいた。
 欲しいと思った銘柄を全て買えるほどの資金力がなかったので、もっと買いたいなと思って頑張って証券口座に入金していた。

資金投入

 とにかく色んな銘柄が買いたい時期だったので、少しでもお金が貯まったら証券口座に入れていた。これは正解。
 それでも資金力が追い付かないので、持ち株を売って新しい銘柄を買う資金にしたりもした。これは不正解。
 買いたい気持ちが強すぎて、長期投資を充分に実践できていなかったと思う。なお、一度保有して利益の出た銘柄には良い印象を持ってしまうので、再度購入することもあった。これは正解でも不正解でもなくその時々による。でも海のものとも山のものとも分からない銘柄に手を出すよりはましかもしれない。
 ちなみに、買い始めから一貫して、デイトレと信用取引には手を出していない。デイトレは単に時間的余裕の問題で、信用取引のうち売建ては勉強した方がいいかなとも思ったけど自分には先を予測する能力がないと思って手を出さなかった。手法として否定している訳ではない。

資金固定

 そうやってどんどん資金を追加投入しては買ったり売ったりを繰り返していくうちに、資産額自体は徐々に大きくなっていった。
 しかしある時ふと、こうやって総額だけ見れば増えているけれど、それは投資で儲かっているからか、単に元本を追加しているからかが分からないなと思った。そこでしばらくは資金を追加するのはやめて、今あるもので運用してみようと思った。これが最大の不正解。
 変に我慢せず、素直に投資資金を追加しておけば良かったと今は思う。

インカムゲイン

 長引く低金利の下、上に書いたように株式を売ったり買ったりするのにも若干疲れたのか、徐々に「預金金利が低いのだから、銀行に預けたつもりで株を買って預金より少し高いくらいの利率を手に入れられれば良いのではないか」と思うようになった。つまりキャピタルゲインを度外視し、配当をメインに考えるようにした。株価自体も上手くいけば上がるだろう、という程度で。

 なお、この頃初めて、当時にしてはまあまあ金利の高い定期預金を預け入れてみた(その銀行はその後破綻した)。それからこれも初めて、社債を買ってみた。最初で最後だ。
 社債はその後もたまに売り出されているものを見たりしているけど、ほぼ為替リスクのあるものか仕組債の類しかないので、それ以降買ったことはない。
 あと山崎元氏の推奨する個人向け国債は一度も買ったことが(買おうと思ったことが)ない。山崎氏のことはとても信頼しているのだけど、さすがに資産運用を株式投資から始めた人間には個人向け国債は向いていない。

株主優待

 株主優待はそれまで特に気にしていなかったのだけど、ある時受け取った優待品が予想以上に嬉しかったことがあり、それ以降は注目するようになった。

長期保有

 徐々に仕事や私生活に忙殺されるようになり、株式売買の回数そのものが減っていった。毎年確定申告をするので少なくとも年に一回持ち株を確認していたが、株式に興味が向くのはその時くらいで、売買するのも年に1・2回だった。
 売却は減り、購入の方が多くなった。仕事の方で収入も増えていたし、元本固定の愚にも気付いていたので、欲しい銘柄があればさくっと証券口座に資金移動して購入した。これは正解。

アベノミクス・トランプ政権

 そうこうするうちにアベノミクス等で経済状況が上向きになり、株価全体が上がっていった。逆に不景気な時は何をやっても株価が下がっていった経験もしていたので、結局、株価は個別銘柄のポテンシャル以上にマクロな経済情勢により大きく影響を受けるのだというのが自分にとっての結論となった。
 なので前回の記事に書いたように、元々足りていなかった株式投資に関する勉強を、この頃から一切やめた。

NISA

 数年前にNISA(少額投資非課税制度)が始まり、初年度から口座を開いて利用した。当初は一般NISAしかなかったので、その後も引き続き一般NISAのままである。
 NISA枠では個別株も何度か購入したが、損益通算等の面で必ずしも制度に向いていないのと、限度額いっぱいを利用するにはETFや投資信託の方がやりやすいと思ったので、何年かはETFを購入した。
 そして徐々にNISA枠以外でもETFや投資信託にも手を出すようになった。最初は海外ETFを買っていたのだけど、為替の要素が面倒なので最近は投資信託が楽だと思っている。
 なお、今年初めてロールオーバーした。NISA口座の銘柄はほとんど売却していないので、この先数年はロールオーバーのみで(評価額が下がっていなければ)追加購入はできない。

令和

 定期預金は上に書いた一回しか利用したことがなかったけれど、数年前に元号が平成から令和に変わった時、改元記念の特別金利の定期預金が売り出された。その金利が自分の利用している住宅ローン金利よりも高かった(税引き前)のが物珍しくて、何となく預けてみた。(低リスク資産にも視野を拡げていかなければ、という目的もあった。)
 でもそれは一年ものだったので、実質的に複利効果もないし、やっぱりあんまり楽しくはなかった。

現状

 適当な銘柄を買い、配当や優待品を貰い、運が良ければ株価がどんと上昇するので期待しないで待つ、これが現時点での私の株式投資方針である。
 コロナ禍で一時的に株価が暴落した時にはかなり買い足した。
 一方でここしばらくは全く売却していない。もともと優待や配当の良い(=保有していて楽しい)ものが手元に残っているし、キャピタルゲインを追求しなくなったので売却する動機がない。
 でもこの先リスクの許容度は低下する一方なのだし、今後年齢が上がるにつれて含み損が膨らんだ時の精神的打撃は大きくなると思われるので、どこかのタイミングで売却しないといけないのだろうけど、もうしばらくはいいか、と今のところは流している。
 何より、配当や株主優待は楽しい。結局のところ自分にとっての株式投資方針はそこに戻るのかもしれない。
 これは成長しそうだと思う銘柄があっても、無配当だったりすると興味がなくなる。
 配当の累積額よりも爆上げした時のキャピタルゲインの方が大きいのは百も承知なのだけど、でも楽しい方がいい。経済的に合理的でなくても、自分の人生を送るにあたってはそれでいいのかなと思う。
 とにかく一般的・常識的にはどうか、金銭的に得なのはどうかということより、楽しいのが一番である、ということは、セミリタイア以降あらゆる状況で思っていることでもある。